「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい

 眉根を寄せたジュウド様にそう言われてしまえば、何も言えなくなってしまう。再びジュウド様の腕に力が込められ、抱きしめられてしまった。

 ジュウド様の腕の中は暖かい。耳をジュウド様の胸に当てると、心地良い心臓音が聞こえてくる。こんなにも優しくされて……自分を心配してくれる人は今までにいなかった。自分を想ってくれる人がいることが嬉しくて涙が出そうになった。

 しばらくジュウド様の腕の中で大人しくしていると、ゆっくりとジュウド様が体を離した。するとジュウド様のぬくもりが消えていく。寒くは無いのだが急激に体温が下がり、ぬくもりにすがりたくなる。ずっと抱きしめていてほしいと我儘(わがまま)を言いたくなってしまう。

 この気持ちは何なのだろう?

 私は寂しいのだろうか?

 ジュウド様のぬくもりを追いかけて、思わずジュウド様に手を伸ばし、自分からジュウド様の胸に飛び込んだ。

「なっ……ジェシカ。その……どうしたんだ」

「ごめんなさい。ジュウド様から離れたら寂しくて……」

 俯く私の体をジュウド様が抱きしめ返してくれた。

 ジュウド様の腕の中はどうしてこんなにも安心するのだろう。

 ジュウド様は騎士団長様で、関わらない方が良い人なのに、この人から離れられそうにない。

 だって私は……。

 この人を好きになっている。



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