「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい

 そう自覚した瞬間、ジェシカの髪が銀色に輝き、すべての髪が銀色に変化した。それと同時に斑紋に変化が現れた。鎖骨の下にあった斑紋は成長するように首筋まで伸び、茨の棘は消え、花の蕾のようだった斑紋がきれいに花咲いた。

 自分の変化にいち早く気づいた私は、首元を押さえながら恐る恐るジュウド様を見た。

 するとその瞳は大きく見開かれていて、視線がジェシカの首元に注がれている。

 ジュウド様は私の正体に気づいただろう。

 ああ……もう言い逃れることは出来ない。

 私はずっとあなたを騙していた。

 私はこの人に嫌われたくなかったのに……そう思っていたけれどもうでダメね。

 この人を好きだと自覚して、恋を知った直後に失恋するんだ。

 この恋が叶うことは無い。

 私は魔王だからジュウド様に嫌われてしまう。

 ジワリと目の奥が熱くなり、同時に鼻の奥がツンと痛くなった。

 私は黙ったまま、斑紋を隠すように右手で押さえた。そんな私を見ていたジュウド様が、恐る恐るといった様子で口を開いた。

「ジェシカ……それは……」

「ごめんなさい……」

 私は謝罪の言葉を口にしていた。

 その声は震えていた。

 ずっと後ろめたさがあった。

 ジュウド様を騙している自覚はあった。

 自分が魔王だと言い出せず、善人ぶって人助けをして、騎士団の皆と笑いあっていた。

 ジュウド様は私を殺すために毎日森で魔王である私を探していたのに。


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