「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい

「ジュウド様……私を殺してください。私は……っ……この世界に厄災をもたらす魔王です。私はこの世界に存在してはいけない。あなた方、騎士団が何年も探し続けた魔王です。あなたの手によって……っ……殺してください」

 私は震える唇をなんとか動かしそう言うと、手のひらを合わせて祈るように指を組んだ。

 私の言葉にジュウド様が息を呑んだ音が聞こえたが、目をつぶってその時を待つ。しかし、私はジュウド様の腕の中にいた。

「俺がジェシカの命を奪う?そんなことが出来るわけが無い!」

 声を荒げながら言うジュウド様の声は震えていた。

「ジェシカ……俺は君が好きなんだ。愛しているんだ」

 ジュウド様が私を好き?愛している?

 俯いていた状態でジュウド様の腕の中にいた私は、ゆっくりと視線を上げた。

 ジュウド様の言葉が信じられずにジュウド様の瞳をじっと見つめた。ジュウド様の瞳は私と同じ澄んだ空の色で、真剣な
眼差しだった。

「ジュウド様が私を好き?」

「ああ、そうだ。俺はジェシカが好きだ。君の敵であるこんな俺に言われても嬉しくないかもしれないが……」

「いえ、いいえ。私も……私もジュウド様のことが好きです。好きなんです」

 そう言ってしまってから私は我に返る。

 自分は魔王なのだと。

「ごめんなさい。ごめんなさい……」

「ジェシカ、なぜ謝るんだ」

「これからあなたに沢山悲しい思いをさせてしまう。私たちは幸せにはなれない」

「それは……」

 ジュウド様も分かっているようだった。自分達が結ばれることはないのだと。

 その夜、私たちは岩の洞窟で寄り添うようにして眠った。




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