「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい
*
「だーんーちょーうー。何にやけてるっすか?」
レンに指摘され、俺は右手で口元を隠した。
「幸せそうっすね」
からかうように、嬉しそうに笑うレンに言われて俺は笑顔になった。
「まあな。俺は幸せもんだ」
「ジェシカちゃんと上手くいってるっすね。まさか名前が魔王と同じジェシカだったのにはビビったっすよね?」
俺は平静を装ってそれに応えた。
「ああ、そうだな。しかし、ジェシカは美しい銀髪で心も美しく、優しくて……」
「あーっ待って!その話長くなるっすよね?惚気は聞きたく無いっすよ!」
「そんな事を言わずに聞け!」
ギャーギャーと騒ぐ俺たちの会話に、ルノアが割って入って来た。
「幸せそうな騎士団長に悲しいお知らせです。ゾイド陛下より呼び出しですよ」
「報告書は送っているだろう?陛下はなぜ俺を呼びだすんだ?」
「それは分かりません。魔王捜索の件では無いように思われます」
「面倒だな。聖教会の人間や魔聖教会とか言いう怪しい奴らが森を動き回っているというのに、ここで陛下の呼び出しとは……」
ジェシカから聖教会や魔聖教会について最近相談されたばかりだというのに、問題ばかりだ。
俺は大きく溜息をついた。