「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい
*
次の日、私の前に表情のない傭兵がやって来た。
傭兵はこの家を守るために雇われた人間だ。
私は黙ったまま男をジッと見つめていると、傭兵の男は冷たい声で言い放った。
「出ろ!」
一言そう言った男はその辺にいる虫を見るような目で私を見ながら、牢の扉を強く開け放ち、私を牢の外へと促した。そして外へと向かう扉へと、さっさと歩いて行ってしまった。私は何とか足を動かし傭兵の後を追う。生まれてからほとんど歩いたことのない私にとって、歩くのは大変なことだった。よたよたとしながら階段を上っていくと、傭兵が階段の先にある扉を開いた。すると暖かな光が私の体を包み込んだ。
「暖かい……」
生まれて初めて浴びる日の光に、ジェシカは目を細める。ゆっくりと足を動かし外に出ると、沢山の色が目に飛び込んできた。初めて見る沢山の色に、言葉が見つからない。何も言えずに呆ける私の背に鈍い痛みが走った。
「……っぐ……」
あまりの痛みに地面に四つん這いになると、先ほどとは違う傭兵の男が近づいてきた。
「こいつが?こいつが魔王?」
そう言いながら四つん這いになっている私の腹部を蹴り上げた。
「ふぐっ……ゲホゲホ」
私の体は傭兵に蹴り上げられ地面に転がった。同時に痛みと胃液が上がり、ゲホゲホとせき込んだ。
痛い……苦しい……。