「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい

「ジュウド様、岩で重なり合ったところから風が……」

「ん?そうだな。コケでよくわからなかったが、この岩を退けたら奥がありそうだ」

 ジュウド様は風が吹き抜けてくる岩の重なった部分に向かって剣を力いっぱい突き刺した。すると大きな音を立てて岩がガラガラと崩れ落ちた。

 それと同時にガラスが割れるような感覚が……。

「ほっ……本当に奥がありましたね。それに結界が壊れるような、封印が解かれるような感覚がありました」

「俺は感じなかったが……この奥に何かがあるのは確実だな。足場が悪いようだ。ゆっくり行こう」

 ジュウド様に手を借りて、洞窟の奥へと進んで行くが不気味な感じはしない。むしろ神聖で清浄に保たれた空間といった感じがする。

「空気が澄んでいる……それに見た目より大きな洞窟だったんですね」

「そのようだな。そろそろ最奥のようだが……あれは明かり?外に繋がっていたのか?」

 洞窟の最奥までやってくると、先ほどまでいた場所のように、湧き水の溜まった岩場が現れた。広さ的には少し狭いようだが、神聖さはこちらの方があるようだ。

 澄んだ空気に水面は淡く光り輝き、リコリスの花が咲き乱れている。リコリスの花の花粉なのか、キラキラと空中を煌めく光が神聖さを際立たせている。

 そんな湧き水の中心には石碑(せきひ)が立っていた。

 私たちは湧き水の溜まった水に足をつけると、波紋が大きく乱れる。それを気にせずに石碑に近づくと、石碑には何か文字が刻まれていた。

 『茨の姫 太陽の騎士それは一対 その命は 騎士のもの

 茨の姫 心乱れるとき 棘おおき痣となりて 厄災をもたらす 

 その者 騎士の手により その命を絶て

 茨の姫 愛されしとき 棘は消え花が咲き誇る

 愛されし茨の姫 穢れ無き魂 それはすなわち聖女なり

 痣が現れし者 慈しみ 愛せよ

 茨の姫 魂の穢れ 世界の運命 全てが決まる』  

 これって……。



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