「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい
「ジェシカはこれをどう解釈する?」
ジュウド様にそう問われ、私は一呼吸おいてから口を開いた。
「茨の姫とは私のような魔王の斑紋のある人間ですよね。太陽の騎士とはジュウド様にある勇者の聖痕だと思われます。それは一対というのは、同時期に生まれてくると言うことでしょうか?それと棘おおき痣は何となく分かります」
「棘おおき痣とは何なのだ?」
「私はエンドレイク家にいた頃、地下にある窓もない牢屋の中で育ちました。食事は何カ月も出ることは無く、もちろん飲み物もありません。生存確認のためか、忘れた頃に誰かが見に来る程度で、人と話したことはほとんどありませんでした」
私の生い立ちを聞き、ジュウド様が息を呑んだのが聞こえたが、それを私はわざと聞き流した。
「その頃の私は狭い世界で生きていて、それが当たり前なんだと思っていました。それでも悲しく寂しいとは思っていました。そのせいか心はいつも冷えきっていて、やさぐれていました。だから魔王の斑紋はいつも茨の棘のような痣でした。しかしあの日、崖から落ちて濁流にのまれ、この森にやって来て私の心は解放されました。リトや沢山の人とふれあって、これが幸せだと感じたんです。それからこの洞窟を見つけて、この美しい水で体を清めると茨の棘は薄くなっていきました」
今まであった過去をジュウド様に話していると、いろいろとあり過ぎてまるで物語のようだと思ってしまう。思わず苦笑しながらジュウド様を見ると悲しそうにこちらを見ていた。
私はジュウド様の頬にそっと触れながらほほ笑んだ。