「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい
「今の魔王様はどちらなのでしょうか?聖女なのか魔王様なのか……まさか!」
「たぶん聖女でしょうね。しかし大丈夫です。魔王の斑紋と勇者の聖痕がある者は一対。心を通わせることが多い」
「それは恋仲になることが多いということですか?」
「その通りです。ですから……」
ゴルドウの顔がニヤリと醜く歪んだ。
「聖女の前で勇者の命を奪うのですよ」
その言葉に私の背筋に冷たいものが走った。
ジュウド様を殺そうとしているの?
私の目の前で?
「しかしそんなことは……聖教会が黙ってはいないでしょう。聖女と勇者を守ろうとするのでは?」
「それなら大丈夫ですよ。聖教会の人間は石碑の存在を知りません。聖女と魔王の秘密も知りません。石碑は見つからないように魔聖教会が封印し、聖女が存在した記憶も1000年前に消し、操作したようです。聖教会の人間は何も覚えていないのですよ」
「そんなことが出来るものなのですか?すごいですね」
ゴルドウは自分の功績でもないのにニヤリと笑い、満足そうに頷いた。
「そらから洞窟は魔聖教会の限られた人間だけが入れることの出来る洞窟となったのです。しかしある日、洞窟に入れる人間が不慮の事故で亡くなられてしまわれたらしいのですよ。そこから何百年と洞窟に入ることも見つけ出すことも出来なくなってしまったということです」
自分たちで隠した洞窟に入れなくなってしまうとは、魔聖教会の間抜けさに驚きつつ、ゴルドウの話に耳を傾けた。
「しかしここ何百年と魔王様を救い出せずにきてしまった。それと言うのも王家が魔王の斑紋の痣を見つけるとすぐに殺してしまうからだ。しかし今回は違う。魔王となりえる聖女が成長なさられた。これは好機なのですよ。魔王様を誕生される……ね」
魔王を誕生させるためなら何でもする。
それが魔聖教会という組織なのだろう。
言葉の最後を意味深げに間をおいて話したゴルドウは、先ほどと同じように顔を歪ませて笑っていた。