「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい
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私は隣で眠るジュウド様を起こさないように静かに起き上がった。それから台所に行って食事の用意をする。お鍋に水を入れ、お湯を沸かすと簡単なスープを作った。それからフライパンを温めて油をなじませ、そこにベーコンと卵を割り入れる。フランパンが奏でるジュージューという音と、ベーコンの美味しそうな匂いにつられてジュウド様が起きて来た。
「ジェシカおはよう。良い匂いだね」
そう言いながらジュウド様が後ろからそっと抱きしめてきた。私の肩にジュウド様が顔を寄せると、首筋に何度もキスを落としてくる。
「もう、ジュウド様。くすぐったいですよ」
やめてほしいと言うように言うが、実のところ嬉しくて仕方がないし、やめてほしくない。
ジュウド様がこうして甘えてくれることが嬉しいのだ。
しかしこのままではご飯が食べられない。
肩に乗るジュウド様の頭を優しくなでながら、私はクルリと振り返り、ジュウド様の唇に人差し指を当てた。
「もう、めっ!ですよ」
まるで子供を叱るようにそう言うと、ジュウド様が目を丸くしてから右手で口元を覆った。
「可愛すぎる」
ジュウド様がそう呟いた。
それを聞いた私はジュウド様に抱きつきながら「ジュウド様も格好いいです」そう言って笑うと、ジュウド様の唇が近づいてきた。甘いキスの予感に胸が高鳴る。ジュウド様の唇が私の唇に触れる。チュッというリップ音が鳴るたびに幸せの波がやって来る。
こんなに幸せなのに……。
この幸せが長く続かないことはない。
死への足音がすぐそこまで近づいていた。
怖い……。
胸の奥がギュッと締め付けられる感じがした。
それは言い様の無い不安だった。