「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい
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ジュウド様が王都へと旅立つ日がやって来た。
ジュウド様は昨日から忙しそうに動いていて、今も声を掛けられそうにない。そんなジュウド様を目で追いながら近くで見守っていると、レン様が声を掛けてくれた。
「ジェシカ様、どうされました?寂しいのですか?」
レン様の言葉はとても丁寧で以前とは違うものになっていた。私を様付けで呼び、いつもなら「寂しいっすか?」と聞いてくるはずなのに、壁を感じた。
「あの、レン様……その言葉使いを元に戻してもらえませんか?」
「ですがジェシカ様は北辺境伯のご令嬢で、しかも聖女様ですよね?」
「んー?正直自分が聖女なのかは分かりません。石碑にはそのようなことは刻まれていましたが、本当なのか確かめる方法もありませんし」
「それでも俺たちはジェシカ様が聖女だと思っているんですよ」
「ですが、私はレン様がいつものように話してくれないと寂しいです。ダメですか?」
ウルウルと瞳を潤ますと、レン様は大きく溜息をつきながら考え込み、言葉遣いを元に戻してくれた。
「仕方ないっすね。でも名前だけはジェシカ様でいくっすよ」
苦笑するレン様を見ながら私は岩場の洞窟の秘密を副団長のルノア様と、レン様に話した時のことを思い出していた。話を聞いた二人は初めこそ驚いていたが、すぐに理解してくれた。