「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい

「えーー!ジェシカ様こんな人でいいんすか?これから束縛されたりするっすよ。窮屈(きゅうくつ)な思いするっすよ」

「俺はそんなことはしない。可愛がるだけだ。レン、それ以上言ったらどうなるか……分かっているな?」

 周りいた騎士たちは団長の言葉に、それ以上のことを口にしたら、レンの命が危ないと震え上がった。しかしレンはどこ吹く風といった様子で、へらへらと笑って見せた。

 そんなレン様に向かってジュウド様が威圧を込めると、空気がドンッと重くなった。まるで空が落ちて来たかのような感覚に、周りの騎士達は立っていることも出来ずに腰を抜かしてへたり込んだ。しかしレン様は何もなかったたかのように笑っている。

 レン様は新人だがこう見えて騎士団の中では副団長のルノアに匹敵する強さらしい。それは以前に聞いていたが、予想以上に強いのかもしれない。

 私がジッとレン様を見つめていると、レン様がこちらに向かってひらひらと手を振って来た。それを見たジュウド様が更に威圧を強くした結果、騎士の数名が気絶した。

「ジュウド様、おやめ下さい。騎士様たちが可哀そうです」

 私の言葉で我に返ったジュウド様が、申し訳なさそうな顔をこちらに向けてきた。

「すまない。少しイライラしてしまった」

 周りを見渡したジェシカはジュウド様が少しイライラしただけでこのような惨事になるのかと、一瞬呆れたが思わず吹き出してしまった。そんな私の様子を見て、ジュウド様も笑いレン様もつられて笑った。

 そんな私たちを見て、騎士様たちが青ざめていたことを私たちは知らなかった。

「ジェシカ様ってもしかして、ただものでは無いのか?」

「あの威圧に女性が耐えられるのかよ」

「逆らったらいけない人なのかも」

 うん、うん、うん、と私たちの後ろでは騎士たちが何やらひそひそと話をしていた。

 この時の様子は、騎士たちによって「ジェシカ様最強説」として話を盛られながら広まっていくのだった。



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