「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい

 人を……人の命をまるで物のように扱おうとする陛下に苛立ちを覚える。

 声を荒げてしまいそうになったが、それをグッと堪える。

「彼女は何もしておりません!彼女は聖女……」

「処分だと言っているだろう?」

 俺の話を遮り、陛下は処分だと言う。

 俺は焦った。

 このままではジェシカを手にかけなければいけなくなる。

 それだけは避けなければ。

 俺はジェシカに手渡された薬を王の前に出した。

「陛下、これは聖女が作った薬です。この薬は聖女にしか作れず、心臓を突き刺されても癒すことの出来る奇跡の薬。伝説の万能薬エリクサーと言われる貴重な物です」

 重鎮達から息を呑む音が聞こえて来た。そこからざわめきが広がる。本当に聖女が現れたのかと、魔王はもう存在しないのかとヒソヒソト話す声が聞こえてくる。

 俺は陛下の瞳を見つめ懇願した。

「もう魔王は存在しません。この国にいるのは聖女様です」

 陛下の眉間がピクリと動いたその時だった。

 聖教会の人間が一歩前に出て来た。

「陛下この話、にわかには信じがたいものです。私たち聖教会の文献に、そのような者は存在いたしません」

「ですからそれは、魔聖教会が……」

 俺の話を途中で遮るように聖教会の人間が声高々に声を張り上げた。


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