「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい

 *

「いやーーー!!ジュウド様!!」

 私は床に倒れたジュウド様の横で、崩れる様に両膝をついた。

 どうして……どうして……こんなことになってしまったの。

 私はジュウド様と静かに森の中で暮らしたいだけなのに。

 その時、心の奥底で声がした。

『恨め』

『恨め』

『恨め』

『殺せ』

『殺せ』

『殺せ』

『セカイをヤキツクセ』

『醜いニンゲンハ必要ない』

『すべてのニンゲンをコワセ破壊しろ』

 その声に耳を傾けると、声がどんどん大きくなっていく。すると私の髪は少しずつ黒に変わっていく。瞳も空色から赤へと変わり、視界が歪み、全身に魔王の斑紋が現れる。

 その見た目は魔王そのもの。

 ジェシカの変化に人々は息を呑んだ。

 ゾイド陛下はそんなジェシカを見てガタガタと震え出し、声を荒げた。

「魔王だ!魔王が世界を壊しにやって来た。殺せ!そいつを殺せ!」

 その隣ではゴルドウが嬉しそうに恍惚とした表情を浮かべていた。

「魔王様……魔王様が降臨なされた。この世界は魔王様のもの、世界は私たちのもの」

 嬉しそうに「あはは……」と笑うゴルドウ。

 けたたましく吠えるゾイドと醜く笑うゴルドウの声が耳障りで、私は魔法を放った。ほんの少しの魔法、それはゾイドとゴルドウに向かっていく。

 ドッゴン!

 低い音を立てて魔法はゾイドとゴルドウの体にぶつかりその体は壁にめり込んだ。ゾイド陛下はかろうじて意識はあるようだが、ゴルドウは白目を剥いていた。



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