「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい
「「「陛下!!」」」
重鎮達の声が重なる。
どいつもこいつも、うるさい、うるさい、うるさい。
ゆるさない、ゆるさない、ゆるさない……。
ジェシカの髪がすべて黒に変わった。
すると空気が一気に変化する。
重苦しく、息が出来なくなるような重圧。
暖かかった気候のはずが、真冬のような冷気に包まれる。
終わった……。
この様子を見ていた人間は思った。
この世の終わり。
この世界は消えてなくなるのだと。
魔王を怒らせてしまったのだと。
取り返しのつかない過ちを犯してしまったんだと。
魔王へと変貌を遂げたジェシカの心にはぽっかりと穴が開いたようになっていた。人の声はもう聞こえないが、煩わしい醜い声はまだ聞こえている。それを無視して私は横たわる人をジッと見つめた。
これは誰だった?
この人を私は知っている?
きれいな金色の髪がやけに目に映る。
私の目の前にあるのは……肉の塊……違う……人間……。
人間の閉じていた瞳がゆっくりと開いた。
その色はきれいな澄んだ空色。
「ジェシカ……」
弱々しい声が私の名前を呼んだ。
この声を、この瞳の色を私は知っている気がする。
大きな手が私の頬に触れる。
この優しい手を私は知っている。
この人は……。