「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい

 ジェシカの体には魔王の斑紋がびっしりと現れていた。

 私は自分の体を見て絶句した。

 いつの間にか、私の身体は魔王の斑文で埋め尽くされていた。

 私は魔王なんだと改めて思い知らされた。

 私は厄災をもたらす魔王で、人々に仇(あだ)なす魔王。

 自分はそんなものにはならないと、思っていた。しかしそうではなかった。やはり自分は魔王だった。

 この世界から排除されるべき存在。

 忌み嫌われる存在。

 周りを見渡すと、人々の顔は恐怖で歪み体はガタガタと震えている。

 私は先ほどまでジュウド様に刺さっていた短剣を手に取った。

「ジュウド様、これで私の胸を刺してください」

「……何を言っているんだ」

 ジュウド様はゆっくりと起き上がりながら私を見た。その瞳は不安げに揺れている。

「世界の平和のためには仕方が無いのです。私はいない方が良いのです。だって私は厄災をもたらす魔王なのですから」

 私は笑いながらそう言った。

 ここで言葉を濁す言い方や、言葉を詰まらせたら泣いてしまいそうだった。だからあえて早口で何でもないようにそう言って笑った。



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