「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい

 *

 ジェシカが消えてしまってから、手を握ったり開いたりするのが癖になっていた。ジェシカを刺したあの時の感触が消えない。

 あの日のことを思い出すと心臓がえぐられるように痛い。

 そして深い悲しみに襲われる。

 生きているのが辛い。

 それでもこの手の感触が、思いが、俺を奮い立たせる。

 俺はあの日から、ジェシカを追い詰めた奴らを罰するために動いた。

 まずはゴルドウを処罰した。

 処刑台に上がったゴルドウは生気を抜かれたような顔をしていた。その口元は小さく動いていて、ぼそぼそと何かを言っている。

「魔王様は復活されたのになぜだ、なぜだ、なぜだ……」

 そんなゴルドウを冷めた目で見ながら死刑執行の合図を送った。

 ゴルドウの首と体が離れる瞬間を見ても何の罪悪感も湧かない、一つ仕事が終わったとそう思うだけだった。

 その次は陛下の処遇についてだ。

 陛下はここ数年、心を病んでいた。

 何十年と魔王の存在に怯え、政務を行ってきたことで、正気を保つことが出来なかったようだ。勇者である俺が見つかり安心したものの、そこからの数年もの間魔王が見つからず、心が休まらなかったことで疲弊していったようだ。

 陛下は魔王を討伐することこそが、この世界の平和につながる。そう信じて疑わなかった。

 その結果が、聖女を失うという結果に繋がった。

 王を失脚させることが出来ても、処刑台に送ることは出来なかった。



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