「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい

 心を病んでいるのだから仕方がないと、そう言われた。

 その時は愕然とし、怒りを覚えた。

 罪を犯した人間が生きていて、罪の無いジェシカだけがその命を奪われた。

 罪の無いジェシカが、この世界のためにと自分の命を差し出してくれた。

 だから世界が平和になったなわけでは無い。

 ジェシカが命を差し出さずとも、世界は平和だった。

 聖女であるジェシカが生きていれば世界は更に平和になっていたはずだ。

 ジェシカは確かに聖女だった。

 心の優しい聖女だった。

 だから自分の命を差し出してくれた。

 世界の平和を願って……。

 俺と共に生きたいと、切に願っていたのに……。

 聖女を失うという国の損失を招いたのは国王であったゾイドの責任だ。

 それにもかかわらず重鎮どもは、俺の話を聞き入れなかった。

 それでも国王なのだからと、もごもごと言い訳を並べる。

 一国の王だった人間だから何なんだ。

 間違いを犯した人間をなぜここまで皆がかばうのか俺には理解できなかった。

 一層のこと俺がこの手で……そう、何度も思ったが、陛下は北方にある貴族牢に入ることが決まった。

 貴族牢に一生幽閉となる。生きている間は出ることは出来ない。貴族牢と聞き、俺ははらわたが煮えくり返った。貴族牢は言葉の通り高位貴族が入る牢屋のことだ。食事もきちんと出るし、身なりも清潔に保つことの出来る設備がある。陛下への甘い罰に俺は納得がいかなかったが、王族だった人間にとっては地獄のような場所なのだと言われ、その処罰を渋々受け入れた。

 陛下の失脚を受けて、その後は王太子殿下であったネクスト殿下が王位を受け継いだ。

 ネクスト殿下は陛下となり俺に深々と頭を下げてくれた。あの日の俺やジェシカの姿を思い出し、陛下は心を痛めてくれた。

「ジュウド殿、本当に申し訳なかった。父の行いがこのような結果になってしまったことを詫びる。あなたから大切な人を奪ったこと、それを止められなかったこと、本当に申し訳ない」

 俺の悲痛な叫びはネクスト陛下の胸に届いていたようだ。


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