「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい

 ネクスト陛下からの謝罪に「そんなものはいらないからジェシカを返せ」と、罵声を浴びせてやりたかったが誠心誠意誤ってくる陛下に毒気を抜かれた。ネクスト陛下は何も悪くない。むしろこうして俺に頭を下げてくれる。本来王族が頭を下げることは無い。それを分かっていた俺は、ネクスト陛下の謝罪を受け入れた。

 さらに魔王を復活させようとしていた魔聖教会という組織の存在があることを発表し、組織の幹部をすべて処刑。魔聖教会全ての人間を処刑できなかったものの、魔聖教会を再編することが出来ないほどに叩き潰した。魔王の復活をもくろむ者はもう現れないだろう。

 ついでにジェシカの両親にも罰を与えようかと、現在のエンドレイク辺境拍の状況を調べた。すると面白いことが分った。

 ジェシカが濁流に飲まれて消えた件でゾイド元陛下の逆鱗に触れたエンドレイク伯は、エンドレイク辺境領土の三分の二を国へと返還させられていた。貴族籍の返還を求められなかっただけでも良しとし、真面目に暮らしていれば良いものを、辺境領は窮地に追いやられる一方だった。エンドレイク伯は働きもせず横領を続け、その妻とジェシカの妹であるオリエは贅沢三昧、領民から税を搾り取り、辺境領の民達は貧しい暮らしをしていた。どうにかしなければとジュウドが動こうとしていた時だった。

 我慢の限界を超えた領民達が反旗を翻したのだ。その首謀者はエンドレイク伯の弟だった。自分の兄の悪行をこれ以上黙ってはいられなかったようだ。エンドレイク伯一家は捕らえられ、エンドレイク辺境伯と、辺境拍夫人は領民達の前で処刑された。ジェシカの妹であるオリエだけが修道女送りとなったが、処刑や幽閉よりはましだろう。エンドレイク辺境領はジェシカの父から弟のグラントへ伯爵籍が移された。志のある者へと渡った辺境拍領はきっと良い方向へと向かっていけるだろう。

 それから俺はネクスト陛下と共に、城の重鎮達と魔王の斑紋について話し合いを進めていた。魔王の斑紋とは何なのか、岩の洞窟の秘密、石碑の存在。魔聖教会が聖女の秘密を隠蔽し、魔王を復活させようとしたこと。魔王の斑紋を持つ者は聖女であること。魔聖教会の人間が隠蔽した秘密の全てを明らかにするために、歴史にくわしい学者に協力を仰いだ。

 重鎮達はジュウドからの話を聞き、すぐに学者たちと動き出した。古い書物を何度も読み返し、魔王の斑紋は聖女の聖痕であることを確認し発表した。魔王の斑紋は聖女の聖痕と呼ぶようにと人々にお触れを出した。今後魔王の斑紋(聖女の聖痕)を持つ者を見つけたらすぐに保護し、聖女として育てることも付け加えられた。
 
 そしてジェシカは聖女として認められた。この世界を守るためにその身を捧げてくれた悲しき聖女として発表され、その話は人々の口によって広げられ、人々は涙した。


 全てのことが終わるのに1年という月日が流れていた。 



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