「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい

 なにせ実在する人物を登場させているため受け入れやすく、噂と重なって先入観にとらわれずに見ることが出来るからだろう。劇場公演の後、役者達がカーテンコールで勇者と聖女の仲睦まじい姿について噂を広めれば、民衆は顔を綻ばせた。

 そんな中、勇者と聖女の姿を一目でもみたいと、声が上がるのは必然だった。そこでネクスト陛下は来月のネクスト陛下の即位一年式に勇者と聖女のお披露目をすると発表した。それに民たちは大いに喜んだ。


 今日はネクスト陛下の即位一年式。

「やっと勇者と聖女をこの目で拝めるねえ」

「ありがたいことだ」

「天気も良いし最高の日だ」

 城下町は朝からお祭り騒ぎで、人々の嬉しそうな声で溢れている。

 そんな城下町の騒ぎを知らない私は、王城の一室で待機していた。

 今日は陛下の即位一年式と私とジュウド様のお披露目式。朝から王城で体をくまなく磨かれ、美しいヘアスタイルに化粧を施され、奇麗な絹に金の刺繍が派手過ぎないシンプルな白いドレスに袖を通していた。ドレスはシンプルだが刺繍が見事に施されているため、聖女が着るに相応しいものとなっている。

 おかげで着付けを手伝ってくれたメイドたちは口々に褒めたたえてくれる。

「聖女様、美しいですわ」

「ホントにお美しい」

「民の皆様も、この姿に見惚れることでしょうね」

 私は気恥ずかしくて、小さく微笑むとメイドたちが息を漏らした。その顔は上気して赤くなっている。そのことに目を逸らして照れている私は気づかなかった。


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