「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい
その時、部屋をノックする音が聞こえて来た。それにメイドが反応し、こちらに視線を向けてくる。私はこくりと頷き、入室の許可を出した。
「失礼する」
そう言って入って来たのは、この国の騎士団長で勇者であるジュウド様だった。今日は朝からずっとジュウド様と離れていたため、寂しく思っていた。
「ジュウド様!」
私はジュウド様に会えたことが嬉しくて飛びついた。そんな私をヒョイッと抱き上げて、愛おしいという気持ちを隠そうともしないジュウド様が私を見つめる。
その姿は仲睦まじい。
その一言に尽きる。
二人を見つめるメイドたちは、尊すぎる二人を涙を流しながら見守った。
「私、この仕事していて良かった」
「分かる。最高過ぎる」
「神様に感謝します」
ジュウド様は私を抱き上げたまま、私を美しいと何度も褒めてくれる。
「ジェシカは今日も美しい。その白いドレスを着ているとまるで妖精の様だ。森の妖精王に連れていかれないように俺が守らないとな」
「もう、ジュウド様ったら、ほめ過ぎです。ジュウド様こそその団長服がとても似合っていて格好良いです」
今日のジュウド様は黒の詰襟の団長服に身を包んでいた。胸には沢山の勲章が付けられており、この国を守ってきた証がここにはあった。この人はこの国の団長であり、勇者であり、英雄なのだ。この人がいたからこそこの国は平和なのだ。そんな人が私の隣にいてくれる。それが嬉しくて仕方がない。
私はジュウド様にぎゅっとしがみ付いて嬉しさを表す。するとジュウド様も私を抱きしめ返してくれる。そんな些細なことが幸せで仕方がない。
「ジュウド様、私……すごく幸せです」
「俺もだ」