「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい
それにしても魔王とはいったいどんな人間なのだろうか?人を襲い、苦しめ、厄災を起こし、恐怖で世界を支配する者?私の中の魔王はそういったイメージだ。それに見た目も恐ろしく、角があったり、目がギョロリとしていたりと容姿の醜い人間だと思っていた。魔王は人を傷つける存在なのでは無かったのだろうか?
でも私は人々を傷つけたいとは思っていない。そこまで人に興味がないと言うのが本音だ。そんな自分が将来、人々を恐怖で震え上がらせる存在になるのだろうか?自分のことだというのに、全く想像がつかなかった。
膝の上の生き物の瞳を見つめながら、魔王について考えていると、「キュンッ」というかわいらしい声が聞こえてきた。
「どうしたの?お腹でもすいた?」
「キュンッ」
まるで私の言葉が分かっているかのように答える生き物。
この子……犬かな?
犬……よね?
「犬さんお前は賢いね。食べ物を探しに行こうか。その前に、えっと……名前が必要ね」
んー……。
どんな名前がいいかな?
その時、視線の先に青い花が群生しているのが見えた。
「あっ!リトニア……リト、リトなんてどうかしら?ほら、そこに咲いている花の名前よ。私が唯一知っている花でもあるんだけど、小さくて青い花よ。かわいらしい姿が一緒だわ」
私がそう言うと、リトはまた「キュンッ」と鳴いた。
「ふふふっ、気に入ってくれたの?よかった。さあ、行こうか」