「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい

 食べ物を探しに行くため、私たちは森の奥へと向かった。鬱蒼とした森の中は薄暗く、少し肌寒さを感じる。そんな森の中をあてもなくさまよっていると、親指ほどの紫の木の実を付けた低木(ていぼく)を見つけた。 

「これって食べれるのかな?」

 首をかしげながらそう呟くと、リトが紫の実をぱくりと口に入れた。それを見たジェシカも紫の実を手に取ると、口に放り込む。すると甘さが口いっぱいに広がった。

「おっ……おいしいーー!こんなに甘くて美味しいもの初めて食べた」

 生(うま)れてこの方、ほとんど物を口にしたことがない。食べたことがあるのは、干からびた肉や味のしないスープ、硬くカビたパンを何度か食べたことはあったがどれも不味かった。

 私が食事を摂ることが出来るのは、何かをやらかした使用人が、罰として私のもとに食事を持っていくことを課せられた時だけだった。私に食事を持っていくことが罰とか失礼な話しだと思うが、そんな罰を課せられた使用人が屋敷の地下牢にやって来て、年に2、3度食事を置いていった。

 私の所に食事を持ってくることが罰って、どんなよ。と思っていたが、食事を運んでくる使用人は顔を真っ青にしていて、おびえた様子だった。ガタガタと震えている使用人を見ているのは気の毒だった。何せ厄災をもたらす未来の魔王と対面しなければならないのだ。皆の噂だと、私は近くによるだけで呪いがかかるらしい。その姿を見たものは目が失明するとか……。バカバカしい噂だが、皆はそれを信じていた。

 嫌なことを思いだしちゃったな。



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