「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい
ボーっと紫の実を見つめていると、ボロボロのスカートの裾をリトが引っ張った。
何だろう?
ついて来いって言っているみたい。
リトが先導するように前を行くのを追いかける。森の中は道がなく、鬱蒼と茂る木や草で歩きにくいが、リトは道が分かっているかのように先導する。ひょいっと、身軽に跳ねながら前を行くリトを必死に追いかけていると、人が並んで歩けるような道に出た。奥深い森の中に道があることに驚いていると、更に驚かされることがおこる。
「えっ!お家?」
小さめだがしっかりとした家がポツンと立っていた。
玄関の入口だと思われる扉をノックして反応を待つ、しかし中から反応は無かった。数度ノックを繰り返すが、やはり反応は見られなかった。恐る恐る玄関の扉に手をかけ、ゆっくりと引いてみる。そっと開いた扉を手で押さえながら中をうかがうと、厚い埃のかぶったテーブルと椅子が目に入った。埃の様子からここに人が住んでいる感じはしない。埃が立たないようゆっくりと中に入っていきながら、部屋の中を確認する。
今、私がいるのは小さなリビングらしい。リビングには机と椅子、その奥にキッチン、更にその奥に扉が一つ。奥の扉に行き、ゆっくりと扉を開くと、もわっと埃が舞い上がった。けほけほと咳をしながら、右手で空中の埃を手で払う。
これ何年分の埃なんだろう?
埃が落ち着くと視界の向こうに、ベッドが一つ置かれていた。
埃の様子からどう見てもここに人が住んでいるようには見えない。
ここに人が住んでいないなら、私が住んでも大丈夫なのかな?
だったら。