「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい

 *

 エンドレイク辺境伯が、ジェシカの乗せた馬車が濁流に飲まれたと報告を受けたのは、事故が起きた数日後だった。

「なっ……なんだと!」

 ワナワナと震えながらジェシカの父であるオルレイ・エンドレイク辺境伯は頭を抱えた。どうしてこのようなことになってしまったのか……あともう少しで、あの娘を葬れたというのに。エンドレイク家から斑紋を持つものを生み出してしまってから、社交界でも肩身の狭い思いをしてきた。ここ数年エンドレイク家の評価は下がり、世間体も悪くなった。何をやってもうまくいかない日々に嫌気がさしていた。妻は魔王を産み落としてしまったという負い目を感じて生きてきた。妻は可哀そうなほど毎日おびえていた。そんな時に勇者発見の報告だった。やっとこの地獄から抜け出せると思っていたというのに……。

「どうしてだ……。どうしてなんだ……。あの娘はまだ私を、私達を苦しめるのか……忌々しい斑紋持ちが!!」

 オルレイは声を荒げてから奥歯をかみしめると、更に怒りをあらわにした。

「くそっ!早く……早く見つけ出さなければ……」



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