「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい
*
ジェシカ捜索開始から1ヶ月後。
ジェシカの父オルレイ・エンドレイク辺境伯は冷や汗を流していた。目の前にはゾイド王、自分を中心に周りを国の重鎮と呼ばれる貴族たちによって囲まれていた。
「何故ここに呼ばれたのか、分かっておるか?」
ゾイド王の低い声に、オルレイはビクリと体を震わせた。ここに呼ばれたのは我が娘についてだろう。しかしそれを言葉にすることが出来ない。ゾイド王の恐ろしいほどの威圧に、震えることしか出来なかった。
「答えぬと言うことは、分からないのだな」
「いえ……その……」
何んとか絞り出したのはそんな言葉だった。しかしそんな言葉では王は納得しない。
「何だ。はっきりと言え!」
「ひっ……我が娘、ジェシカについてでしょうか?」
「分かっておるではないか。その通りだ。おぬしはこの我に言うことは無いのか?」
オルレイはダラダラと汗を流し、それをぬぐう余裕もない。
「それは……」
なかなか話そうとしないオルレイにしびれを切らし、ゾイド王が不機嫌さを凝縮させた低音で話し出した。
「おぬしが話さぬのなら、私が話そう。何故ジェシカ嬢を勝手にこちらに送り出したのだ?何故騎士団の到着を待たなかった?何故ジェシカ嬢の馬車は崖に落ちた?何故ジェシカ嬢はここにいない?」
ゾイド王にまくし立てられ、オルレイは更にガタガタと震えだした。