「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい
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その頃ジェシカは……ものすごく楽しくやっていた。
「きゃーー!気持ちいいね」
今日は森の中にある洞窟にやって来ていた。そこは温かい湧き水か沸き上がっている場所で、ジェシカのお気に入りの場所。
「からだが温まるし、このお湯に入ると肌がすべすべになるよね。リトはどう?」
リトは嬉しそうに「わん」と答えた。
そんなリトを見て私は目を細める。
こんなに毎日幸せで良いのだろうか?
屋敷の地下牢にいた頃は、屋敷の人たちの声を聞いては心を痛めていた。父の嘆く声、母のすすり泣き。それを聞いては唇を噛みしめた。自分は悪いことなど何もしていないのに、どうしたらよいのか分からなかった。自分が生きている限り、私の家族は幸せになれない。そのことに落胆した。一緒には幸せになれないのだと、悲しくなった。
今はそんな日々が嘘のように幸せだった。