「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい


 *
 
 森では騎士たちがジェシカの捜索にあたっていた。

「なあ、魔王……見つかると思うか?捜索初めて5年だぜ?」

「あぁ?さあな?」

「こんだけ探していないんだぜ?もう死んじまってんじゃねえのか?」

「だよな。10歳の女の子が濁流にのまれて生きてるわけないよな」

 そんな話をしながら捜索をしていると、昼休憩の合図が聞こえてきた。休憩になると話されるのは魔王のことだ。

「魔王ってホントにいると思うか?こんなに平和なんだぜ?」

「だよな……っていうか、この森ってこんな感じだったか?」

「俺も思ってた。5年前はもっと鬱蒼としていて暗かったよな。凶悪な魔獣も多くて、数メートル進むのも大変だった気がするんだが、今ではのどかな森だよな」

「ホントそれだよ。最近は可愛い動物しか出てこない。この森の名前、漆黒の森だったよな?全然暗くないんだけど?」

「だな?暗さは無いよな。魔獣は俺たちが討伐してるからか?」

「いや、だからって……」

「「…………」」

 この森の変化に騎士団捜索隊は気づいていた。5年前ジェシカ嬢『斑紋』を持つ魔王の捜索が漆黒の森だと聞いた時は驚愕した。この森は特に強い魔獣が出る場所だったからだ。災害級の魔獣もいることから、人は森の中には入らない。捜索より自分の身を守ることに専念しないと前に進めないほどだった。しかしその状況が変わったのは、捜索が始まって1ヶ月が過ぎた頃からだった。魔獣の出現が少なかったと報告を上に上げることが多くなり、日に日に魔獣が出なくなっていた。

 今では平和な森と化したこの場所。



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