「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい
「おぬしが勇者か?」
俺は答えられなかった。自分が勇者だという自覚は無い。
何て答えたら良いのか冷や汗を流していると、シドが口を開いた。
「陛下、発言よろしいでしょうか?」
「うむ。いいだろう」
「ありがとうございます。ジュウドの左腕には『勇者の聖痕』と思われる痣があります。その確認のため、ここに連れてきました。本人に勇者の自覚はありません。体にある痣についても、花の模様だと思っていたようです」
「なるほど……。では、その『勇者の聖痕』を見せるがいい」
ゾイド王にそう言われ、俺は左腕の包帯をとった。そして陛下に見えるように腕を差し出した。
「これは……なるほど。『勇者の聖痕』で間違いなさそうだな。これは自分で付けたものではないのだな?噓偽りはないな?」
俺は全身に恐ろしいほどの威圧を感じた。陛下から放たれる威圧に体が震えあがる。この痣がまがい物でないか確認しているんだ。もしこれが偽物ならきっと処刑されるだろう。だから俺は正直な気持ちを答えた。
「この痣は俺が産まれた時からあった痣です。しかしこれが『勇者の聖痕』なのかは俺にもわかりません。俺が勇者と言われてもしっくりこないんです」
その言葉に陛下は数秒考えこむように、自身のあごひげを撫でた。