「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい
『魔王の斑紋』を持つものが生まれると、直ちに『勇者の聖痕』を持つものによって命を絶たれるのが運命である。赤子のうちに魔王となる者の命を奪うことで、この世界は平和を保ってきた。それが世界の理だと言われていた。
私が殺されるのは運命。
魔王を誕生させないために私は殺される。
しかし私は殺されずにここにいる。
それというのも『勇者の聖痕』を持つものが見つからないのだという。本来『勇者の聖痕』を持つものは『魔王の斑紋』の対のように誕生する。しかしその『勇者の聖痕』を持つものが見つからないまま時は過ぎていった。
『勇者の聖痕』を持つものが見つからないまま現在に至り、私は多分10歳になっていた。多分というのはオリエがもうすぐ7歳になると言う話を聞いたからだ。自分の誕生日は分らないが、オリエが7歳なら自分は10歳のはずだ。
私は辺境伯の長女だが、地下の牢屋から出たことがない。だから父と母を見たことも会ったこともない。声だけは私の能力で聞いたことはあるが、母は私のことを汚らわしい子、忌々しい子、煩わしい子と言い。父はあれ、それ、と物のように言っていた。だから私には名前が無いのだと思っていたが、最近になり自分の名前が判明して驚いた。