「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい
それは数日前の話だ。
「忌々しいジェシカをやっとこの屋敷から追い出せる時が来た」
その日も魔法を使って聞き耳を立てていると、父のそんな声が聞こえてきた。
忌々しいジェシカ……それって私の事?
私はジェシカという名前だったんだ。
今日も父から忌々しい子だと罵られているが、自分の名前が分かって嬉しかった。
親からの初めてのプレゼントだと言われる名前が私にもあった。
それが嬉しかった。
それにしても私を追い出すとはどういうことなのだろう?
父の言葉に続いて、母が歓喜の声を上げた。
「まあ、そうなのですか?では『勇者の聖痕』を持つものが見つかったのですか?」
「ああ、どうやら名もない小さな村に生まれたらしく、発見が遅れたらしい」
「ではこれから王都の方へ?」
「そのようだ。これから王都の教会で、勇者の儀が執り行われるらしい。その後、ジェシカを葬るらしい」
「ああ……やっと、やっとなのですね」