「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい
歓喜に震える母の声と、心底嬉しいといった様子の父の声が聞こえてきた。娘である私が死ぬことをこんなにも喜んでいる。
すーっと心が冷えていくようだった。
ずんっと心の奥に鉛でも沈んでいくような言い様の無い何かが重くのしかかる。
両親に愛されない私は何のために生まれてきたのだろう?
生まれてこなければ良かった。
自分では自害することも出来ないこの体は、勇者に殺されるためだけに存在する。もしかしたら魔王は勇者という英雄を誕生させるための駒なのではないだろうか?この世界の平和の象徴である勇者を引き立たせるための駒。
「はぁーー」
私は大きくため息を付いた。
まあ、私が死ぬことで皆が喜ぶのなら……世界が平和になるのならそれでもいいか……。
私は生きることを諦めていた。
それが運命なのだと。
この世界に執着がなく、自分の生死に頓着な私は、ごろりと石の床で寝返りを打ちながらそんなことを思った。