「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい

 *

 どうしてこんなことになってしまったのだろう。

 ジェシカはジェシーの姿のまま、ジュウドと名乗った騎士団長様とお茶を飲んでいた。

 リトをお留守番させた日に限ってこんなことになるなんて……。私は騎士団長様に気づかれないよう小さく溜め息をついた。

 今日は天気がいいため、外のカフェテラスでお茶をしているのだが、物凄く視線が痛い。特に女性からの視線がものすごいのよ。嫉妬心丸出しといった様子でこちらを睨みつけてくる。今の私は10歳程度の年齢に見えるように変身しているというのにこれとは……。この人、相当モテるらしい。

 それもそうか、この見た目だものね。

 先ほど騎士団長様に声をかけられたときは、言葉を失った。

 太陽の光を浴びて輝く金の髪、煌めく空色の瞳。ふっと口角を上げた笑顔は驚くほど格好かった。

 そんな彼の瞳の色が私と一緒とか思っちゃった。

 それがうれしいとか……。

 お茶を飲みながら、ちらりと騎士団長様を盗み見ると、それに気づいた騎士団長様がコテンと首をかしげながら笑った。

 あざとい。

 これ最近言われている『あざとい』って言うやつでしょ。

 こんな子供にそれする?

 とれにしても、こんなしぐさが似合うなんて……ドキドキと胸を高鳴らせていると、そうなっているのはジェシカだけではなかったらしく、周りにいる女性たちも顔を赤くさせていた。

 この人いったい何がしたいのだろう?

 今の私は子供だよ。



< 53 / 152 >

この作品をシェア

pagetop