「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい
「騎士団長様、あの……お仕事はしなくて良いのですか?」
「ん?ああ、大丈夫だ。こうやって町を見守るのも仕事なんだ」
見守る?
こうしてお茶を飲むのも仕事なのだろうか?
よくわからず、お茶の入ったカップを見つめながら首をかしげると、騎士団長様が口元を押さえながら震えていた。
私、面白いことでも言ったかしら?
その時……。
ドンッ!と大きな爆発音が聞こえてきた。
少しは離れたところから砂煙があがっている。そしてこちらに向かって逃げてくる人々と悲鳴が聞こえてきた。
「ジェシーはここにいて」
騎士団長様はそう言うとカフェテラスから飛び出して行った。その背中を唖然としながら見つめていると、悲鳴の原因であろう男が通りの向こうから飛び出してきた。騎士団長様は男と正面から対峙している。騎士団長様の姿に怯んだ男が、もう後がないと悟ったのか短剣を手に取ると、騎士団長様に向かって突っ込んでいった。
それを見ていた女性たちから悲鳴が上がる。
しかし騎士団長様は表情を変えることなく、向かって来る男から短剣を奪うと、腕をくるりと捻りながら地面に組み敷いた。それは本当に一瞬の出来事で、一呼吸した時には終わっていた。そんな感じだった。