「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい

 騎士団長様は組み敷いていた男をロープで拘束すると、騒ぎを聞きつけた町の兵士がやって来た。騎士団長様は兵士に男を引き渡し、少し話すとこちらにやって来た。

「ジェシー、申し訳ないが俺はこれで失礼する。負傷者が数名出ていると報告を受けたので……」

 私は負傷者の話を聞くと、騎士団長様の話を遮って声を荒げた。

「負傷者の所まで案内してください!」

「え?しかし……」

「急いでください。私の薬を使って下さい」

「……わかった」

 騎士団長様は少し考え込んでからそう言うと、私を抱き上げた。

「すまないが、この方が早い。少し我慢してくれ」

 私を抱きかかえた騎士団長様は、歩くよりは早く、全速力で走るよりは遅い速さで走り出した。向かったのは先ほどの砂煙の上がった場所だ。そこには負傷者が数人うずくまっていた。

 私は騎士団長様の腕の中から飛び出すと、うずくまる人の所へと向かった。

「大丈夫ですか?痛むところはどこですか?」

 うずくまっている女性に声をかけると、痛みをこらえながら女性は答えた。

「うっ……お腹と腕が……」

 見ると女性が押さえている腹部と腕から出血していた。特に腹部からの出血がひどく、地面が血で濡れている。

「そのまま腹部を押さえていてください」

 そう言って私は肩から掛けていたカバンの中から治癒ポーションを取り出した。



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