「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい

「ゆっくり飲んでください」

 女性を支えるようにして治癒ポーションを内服させる。すると女性の体は淡く発光し、傷口が塞がっていく。それは奇跡の様だった。周りで見ていた人々から驚きの声が聞こえてくる。

 この人はこれで大丈夫ね。

「騎士団長様!出血が多く、傷の酷い人から処置をしていきます。状態の悪い人を連れてきてください」

「わかった。兵士にもそう伝えよう」

 そう言うと騎士団長様はすぐに動いてくれた。それからすぐに傷を負った人々が集められ、傷の酷い順に並んでもらった。初めに並んだ三人は傷が深かったが、最初にポーションを飲ませた女性よりひどい傷の人はいなかった。三人にポーションを飲ませたが、ほかの人たちはポーションを必要としない傷だった。

「傷口を見せてください」

 カバンの中から傷薬を取り出した。

「それは?」

 いつの間にか帰って来た騎士団長様が聞いて来た。

「これは傷に効く軟膏です」

 そう答えながら、目の前にいた男性の腕と膝に薬を塗った。するとすぐに効き目があらわれる。傷口が跡形もなく消えたのだ。

「ほう。これは凄いな」

 自分の薬が褒められて、くすぐったい気持ちになる。それから最後の人を治療し終わり、ほっと胸を撫で下ろした時だった。

「大変です。女性が瓦礫の下に!傷も深く出血も多いです!」

 その声に私と騎士団長様は眉を寄せた。

「その女性の所に案内してください」



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