「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい
「騎士団長様、これから魔法を使用します。集中したいので人が来ないようにしていただけますか?」
「魔法……ああ分かった」
騎士団長様は兵士に部外者達を人払いするように指示を出した。それを見た私は集中するため、神様に祈りを捧げるように手を組んで深呼吸を繰り返した。人に治癒魔法を使うのは初めてだ。
失敗したら……そう思うと手が震えた。
そんな私の気持ちに気づいたのか、それとも緊張していると思ったのか、騎士団長様が私の手をそっと握ってくれた。
「ジェシー落ち着いて、大丈夫だ」
その声がとても心地よくて、優しくて、冷静になれた。私は騎士団長様の言葉に頷くと、ふーっと息を吐きだし目を閉じる。それから魔法の呪文を歌うように、ささやくように唱えた。