「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい

「騎士団長様、これから魔法を使用します。集中したいので人が来ないようにしていただけますか?」

「魔法……ああ分かった」

 騎士団長様は兵士に部外者達を人払いするように指示を出した。それを見た私は集中するため、神様に祈りを捧げるように手を組んで深呼吸を繰り返した。人に治癒魔法を使うのは初めてだ。

 失敗したら……そう思うと手が震えた。

 そんな私の気持ちに気づいたのか、それとも緊張していると思ったのか、騎士団長様が私の手をそっと握ってくれた。

「ジェシー落ち着いて、大丈夫だ」

 その声がとても心地よくて、優しくて、冷静になれた。私は騎士団長様の言葉に頷くと、ふーっと息を吐きだし目を閉じる。それから魔法の呪文を歌うように、ささやくように唱えた。



< 58 / 152 >

この作品をシェア

pagetop