「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい
*
それから数日後、扉の向こうから小さな足音が聞こえてきた。
私はゆっくりと起き上がり、扉が開くのをまった。もう何年も開くことのなかった扉は、建付けが悪くなっているのかギーッと嫌な音を立てながら開いた。そして嫌な音を立てた扉の向こうには、一人の少女が立っていた。
「お姉さま?」
そう言いながら少女がこちらを見た。
この子はもしかして……。
「……オリエ?」
そう呼ぶと、少女は嬉しそうに笑った。
「お姉さま、私のことを知っているの?」
「ええ、よく知っているわ。今日は何しに来たの?」
「お姉さまは、もうすぐ死んじゃうんでしょう?だから会いに来たの」
「そう、ありがとう」
「お父様も、お母様も、お姉さまがいなくなるって喜んでいるのよ」
妹の心無い言葉が胸に突き刺さる。
見たことの無い両親が笑っている顔を想像して悲しくなった。
「お姉さまはこの世界の……何だっけ?えっと……厄災?呪われた忌々しい子だって聞いたわ。だから私が退治しようと思ったの」
「そう……あなたは勇者なのかしら?」
勇者ではないことは分かっているけれど、私はそう聞いてみた。
「わかんない」
オリエはそう言いながら首を傾げた。
「オリエ、私は勇者でないと殺せないのよ」
「えー、そうなんだ。じゃあ……こんなことをしても大丈夫?」
ゴツっ……。
鈍い音がして驚いていると、額から生暖かいものが落ちてきた。
「何……?」