「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい

 魔力枯渇は魔法の使い過ぎによって起こる症状だ。その症状は激しい疲労と倦怠感、めまいや吐き気を催す者もいると言う。全ての魔力を使い切ると死に至る。しかし人間は自己防衛反応で、よほどのことがないかぎり魔力を使い切ることは無いと言う。確か魔力枯渇は魔力ポーションを飲めばすぐに良くなるはずだが……。

「ジェシー、魔力ポーションはもっているか?」

「いえ……もしかしたら……薬屋にあるかも……」

 消え入りそうな声でジェシーがそう言った。俺はそれを聞き、ジェシーを横抱きにすると薬屋へと急いだ。薬屋に着くと扉を荒々しく開け、中に入っていく。慌てた様子で突然やって来た俺の姿を見た薬屋の店主が声をかけてきた。

「一体どうしたって言うんだい?」

「すまない!魔力ポーションは置いてあるか?」

「ああ、あるよ。ジェシーちゃんに使うのかい?」

 俺の腕の中にいるジェシーを見て、薬屋の店主が言った。

「そうだ。金は俺が払う」

 金貨を渡すと、店主が店の奥から紫の瓶を持ってきた。俺はそれを受け取ると、椅子に座りジェシーを膝の上に横抱きにした状態で、魔力ポーションを飲ませた。ジェシーはゆっくりと嚥下をしながらポーションを飲んでくれた。

 良かった。

 これで大丈夫だろう。



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