「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい
二人の男性は騎士団の制服を着ていることから、騎士団長様の部下なのだろう。二人とも整った容姿をしていて、人の目を引く。周りを見回せば、女性たちが頬を赤らめながらこちらを見ていた。
ほえー……。
すごいな。
私は目立たないように、しっかりとローブのフードを深くかぶり直した。しかし騎士団長様がひょいっと私を抱き上げ、フードを取ってしまった。私の髪が風に攫われるようにゆらりと揺れる。それを騎士団長様が満足げに見つめた。
「ちょっ、騎士団長様、何をするんですか!」
少し怒り気味にそう言うと、くくくっと騎士団長様が笑った。笑った騎士団長様の瞳には、優しさや愛おしさなど、沢山の感情が込められていた。それが自分に向けられている。それが気恥ずかしくて、交わっている視線をわざとらしく逸らした。
まるでイチャついているような私たちを見た騎士団長様の部下二人が、心配そうに声をかけてきた。
「ジェシーちゃん、悪いおじさんに騙されたらダメっす。しっかり見極めるっすよ。あっ、俺は騎士のレングリアっす。みんなからはレンって呼ばれているっす」
騎士のお兄さんはそう言って人懐こい笑顔を見せた。次に隣にいたクールなお兄さんが、紳士的な様子で声を掛けてくれた。
「あなたがジェシー嬢ですね。お初にお目にかかります。騎士団の副団長、ルノアと申します。団長に行き過ぎた行動があるようでしたら私に相談してください」
「行き過ぎた行動とは?」
「えっと……ですね……。団長が気持ち悪かったら言ってください」
「騎士団長様が気持ち悪い?」