「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい

 レンの言葉を無視して剣をふるいながら鍛錬を積んでいると、ルノアもやって来た。

「まったく……隙あらば町に行こうとするのですから、困ったものですね」

「町に行くだけだ」

「では、町でジェシー嬢に会ったらどうしますか?」

「それは……」

 俺はジェシーに会ったら……。

 話がしたい、そばで見守りたい、あわよくば大人になるまで、近くで……。それにどこまでも、誰よりも優しく接して、甘やかして、俺を好きになってもらいたい。

「団長、また気持ち悪いことを考えていたのでしょう。それがダメだと言っているのが分からないのですか?」

「なぜダメなんだ」

「だから、相手は子供なんですよ。犯罪なんですよ」

 この国で15歳以下は子供として扱われる。貴族に関しては17歳で成人で婚姻を結ぶことが出来るが、17歳以下に手を出せば、法律で罰せられる。大人が子供に手を出すことは許されない。しかし、平民もしくは平民以下の暮らしをしている者は違う。この国でも、一歩裏の世界に入り込めば、人身売買は行われている。15歳以下でも婚姻ができ、売られることもある。体を売って金を稼ぐ少女を見たことは何度もある。ジェシーは仕事をしているため、そんなことはしないと思うが、もし金に困ればジェシーも……そんなことを考えると、ここでこうしてなどいられない。

 俺がジェシーを守らなければ……。

 俺の庇護下の元、不自由のない生活をさせてあげなければ。

 俺がそんなことを考えているなんて、ジェシーが知ったら気持ち悪がられるだろうか?

「団長、あなたが何を考えているのかは大体わかりますよ。でもやめて下さいね。ジェシー嬢も迷惑ですよ」

「…………」

 俺は何も言えなかった。

 俺のこの想いや行動は迷惑になるのだろうか?

 それから更に一カ月が過ぎ、俺はジェシーに会うことが出来ずに2カ月が過ぎていた。



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