「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい
町に来るといつもと変わらない景色が広がっていた。活気あふれる町では、人々が忙しなく動き回り、声が溢れている。そんな町の大通りを通り抜けて、いつもの薬屋の扉を開いた。
「こんにちは」
「ジェシーちゃん、今日は納品日では無かっただろう?」
「騎士団のポーションの在庫の確認と、薬の確認に来たんです」
「そうだったのかい。今のところポーションも薬も大丈夫だよ」
「……そうですか」
「おや、どうしたんだい?」
少し元気のない私を見て、薬屋のおばちゃんが声を掛けてくれた。
「あの……騎士団長様はこちらに来ていますか?」
「騎士団長さんかい?いや、ジェシーちゃんを抱きかかえて来たあの日が最後だよ。もう2ヶ月くらいは見ていないね。ここに来るのは新人の騎士団員たちだね」
「そうなんですね」
「騎士団長さんに会いたいのかい?」
「いえ、その……そうではないのですが、元気かなと思って……」