「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい
その日の夜。
私は岩の洞窟に来ていた。
この洞窟を見つけたのはこの森に来てすぐの頃だった。森の中を探索していた時、リトが珍しく興奮した様子で、私をここに連れて来た。洞窟の中に入ると奥の方まで続いており、行き止まりまで行くと温かな水が湧き出していた。湧き出した水は岩に囲まれた場所で、ため池のようになっていて、その水は濁りが無く、澄んだ水で、聖水のように清らかだった。そんな湧き水の水面は淡く光り輝き、きれいな白い花が咲き誇っていた。
「わぁーー。きれいな場所」
美しいこの場所が、ジェシカのお気に入りの場所になった。
それからジェシカはこの場所で毎日体を清めている。そんなある日こと、その日は満月の晩だった。いつものように体を清めていると、いつもなら淡く光り輝いている水面が、強い光で輝きだした。その光はジェシカの体を包み込むようにして輝き、数分後にゆっくりと元の淡い光へと戻っていった。
「今のは一体何?」
驚きつつ自分の体を見て驚いた。
生れた時からあった『魔王の斑紋』である痣に変化が起きていた。
茨の棘が薄くなっている?
それにこれは……。
花のつぼみ?
鎖骨の下に、花のつぼみのような痣が増えていたのだ。
しかしその他に体に変化は無く、気にするのは止めた。私は魔王で、死ぬことは無いため、あまり気にならなかったと言えばその通りだった。
また岩の洞窟の水面が光り輝いた時に変化があれば、その時に考えようと楽観的にも考えていた。