「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい
それから何度も水面が光り輝く現象が起きた。それは決まって満月の夜。月が一番光り輝くとき、南の一等星と折り重なる時刻に、この現象が起きることが分かってきた。ジェシカは満月の夜はこの時間にこの場で、光を浴び続けているが、最初に光を浴びて以来、痣にあまり変化は無い。ほんの少しずつだが、茨の棘が薄くなっているような気もするのだが、気のせい……な気もする。
今日も岩の洞窟で体を清め、服を着替えてから外に出ようとしていると、リトがうなり声を上げた。
リトがうなり声を上げることは珍しく、困惑しながら声を掛けた。
「リトどうしたの?」
優しく問いかけながらリトがうなる方に視線を向けると、そこには目を見開いた騎士団長様が立っていた。思わず騎士団長様と声を掛けてしまいそうになったが、自分の今の姿を見て、それを飲み込んだ。
今は子供のジェシーの姿では無く、大人のジェシカの姿だ。それを騎士団長様に気づかれるわけにはいかない。騎士団長様たちは王都から魔王である私を探しに来ている。もし、私が魔王だと知られれば勇者の手によって殺されてしまうだろう。
それが私の運命であり定めなのだから……。
そう思いながら騎士団長様を警戒しながら見つめた。