「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい
「すまない。長い時間引き留めてしまった」
「いえ……楽しかったです」
「ほっ、本当か?!そうか……それは良かった」
嬉しそうに、にこりと笑った騎士団長様の顔を見て、またキュンッと胸が高鳴った。かわいいと思ってしまった。年上の男性に対して失礼だろうか?可愛いと、そう思ったことは内緒にした方が良いのかもしれない。
ジワリと心の奥に暖かい何かが生まれる気配がした。それが何なのか、ジェシカには分からない。
「君とまた話がしたい。またここに来てもよいだろうか?」
「…………」
私が何も言わずに黙っていると、騎士団長様はゆっくりと立ち上がった。そして「すまない」そう言って洞窟の出口へと向かって行った。騎士団長様の背中を見ながら私は唇を噛みしめた。これ以上この人に関わってはいけない。関われば関わるほどに自分が魔王だとばれる可能性が高くなる。ならば関わらない方がいい。
それなのに、この人と離れたくない。
そう思ってしまったんだ。