「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい
そして私は騎士団長様の背中に向かって叫んでいた。
「話しだけなら!」
私の声に騎士団長様が驚いた顔をしながら振り返った。そして、にっこりとほほ笑んだ。
「またこの時間に来る」
それから2、3日に一度、騎士団長様は洞窟にやって来た。私はほとんど話さないが、騎士団長様が一方的に話をして帰っていく。最初の日以来、騎士団長様が私のことを聞いてくることは無かった。だから私は安心して騎士団長様に会うことが出来ていた。
二人だけの時間はとても心地が良くて、幸せだった。
そして願ってしまう。
このままずっとこんな時間が続きますようにと……。
しかし、ささやかなそんな願いは続くことは無かった。
続くわけが無かったんだ。
だって私は魔王の斑紋を持った魔王なのだから……。