「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい
「でも、団長らしくないっすよね?団長は一途だと思っていたっすけど……」
レンの言葉に俺は頭を抱えた。
「俺だって一生一人だけを愛し続けると思っていた。それなのに……俺は自分が分からない」
自分のことなのに、自分の感情に混乱し、落胆することばかりだ。
俺はどうしたらいいんだ。
頭を抱え地面を見つめる俺に、ルノアが質問してきた。
「それで、最近団長が気になっている人は誰なのですか?」
「それは……たぶんだが、ジェシーの姉ではないかと思っている」
「ジェシカ嬢の姉君ですか?ですが、何故疑問形なのですか?聞けばよいではありませんか」
「あの子は、自分のことを話したがらない。だから分からないんだ」
「まさか、また未成年ではないですよね?」
「いや、前に未成年かと聞いてみたが、首を振っていた。年齢は分からないが、未成年ではない」
「物凄く年上と言うことではないですよね」
「違う!可愛らしい少女だ。ジェシーに似ていて、長い銀髪の妖精のような人だ」
「「…………」」
ルノアとレンが黙ったまま、じっとりとした目で俺を見てくる。
シンと静まり返り、三人の視線が交わった時だった。
離れた場所で『ドーーン』と、大きな爆音が聞こえて来た。森の動物たちが驚いた様子で、俺たちの横を走り去って行く。
「何ですかね?ここ数年こんなことなかったっすよね?」
「静かな森でしたからね。団長指示を!」
ルノアの言葉に俺はすぐに立ち上がり、騎士たちをたたき起こすと、動物たちが逃げ去ったのとは逆方向に進んで行った。