「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい
「オリエ!大丈夫か?」
傭兵とともに血相を変えて現れた身なりの良い男女を見て、私は目を見開いた。その声は何度も聞いていた声だったから。
「お父様……お母様……」
そう呟くと鬼の形相をした二人の口から怒号が鳴り響く。
「貴様!!私の可愛い娘に何をした!」
「なんてことなの。こんなに泣いて……可哀そうなオリエ。忌々しくて汚らわしい魔王!この子を殺そうとするなんて、出来ればわたくしの手でとどめを刺してやりたかった。呪われた汚らわしいお前を!」
両親からの言葉にひゅっと息を吞む。初めて会う両親に、なぜこんなことを言われなければならないのだろうか?私もあなた達の娘だというのに……。いつも聞いていたから分っているつもりでした。愛されていないと……それでも直接言われていないから期待もしていた。もしかしたら……会うことが出来たら……愛してもらえるかもしれない。優しい言葉を掛けてくれるかもしれないと。しかし、現実は違う。やはり嫌われていた。こんな風に目の前で罵られるのは辛い。
心がまた、すーっと冷たくなった。
瞳が濁り、目の前が暗くなっていく。
「早く勇者に始末してもらわなければ」
追い打ちをかけるように父がそう言った。