「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい
ジェシカは自分の方に向かって来る騎士団長様の姿を確認して、ホッと胸を撫で下ろした。
「騎士団長様っ……」
お礼を言おうとしたが、その言葉は途中で言うことが出来なくなってしまった。お礼を言う前に、私は騎士団長様の腕の中に包まれてしまったからだ。
「間に合ってよかった」
騎士団長様の大きな溜め息とともに発せられた言葉は、心からの安堵の言葉だった。
「大丈夫か?怪我は無いか?」
その後は、私への心配の言葉が続いた。
そこに遅れて騎士団の隊員たちが到着した。
「騎士団長、早すぎっすよ」
「騎士団長、ご無事ですか?」
レンとルノアが騎士団長様に声を掛けている。しかし、騎士団長様の腕の中にいる私を見て、目を丸くした。
「ジェシーちゃん?!」
そう言ったのはレン様だ。
自分はジェシーではあるがジェシカだ。そこで思わず自分の名前を名乗ってしまった。
「私はジェシーではなく、ジェシカです」
「ジェシカ……ちゃん?ジェシーちゃんじゃないんっすね」
「はい。ジェシーの姉です」