「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい
レン様はまじまじと私を見つめると、手を差し出した。
「俺はレングリアっす。レンと呼んでください」
ジェシカとしてレン様に会うのは初めてのため、私はその手をとって挨拶した。
「レン様、初めまして私もジェシカと呼んでください」
レン様と握手を交わしていると、副団長のルノア様も声を掛けてくれた。
「ジェシカ嬢、私は副団長のルノアと申します。以後お見知りおきを」
丁寧に礼をしたルノア様に、ジェシカも頭を下げた。
「ルノア様ジェシカです。よろしくお願いいたします」
二人とそんなやり取りをしていると、騎士団長様から何やら不穏な空気が広がっていく。
なんだか気温が低くなったような?
首をひねっていると、騎士団長様に抱き寄せられた。
「きゃ!騎士団長様どうされたのですか?」
「ジェシカは俺が名前を聞いた時は何も言わなかったのに、こいつらには話すんだな」
確かにそうだ。
私は騎士団長様には何も話さなかった。
今まで自分の名前も教えていなかった。
それはなるべく自分のことを話したくなかったからだ。自分が魔王だとばれるのを防ぐためだったが、もう隠すのは限界だと感じていた。ここまでくれば、隠していることは難しいだろう。