「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい
「申し訳ございません。ですが、騎士様たちなら大丈夫かと思い……」
口ごもりながら私がそう言うと、レン様が間に入ってくれた。
「騎士団長、女性がべらべらと自分のことは言わないっすよ。しかもよく知りもしない男に……警戒されるのはあたりまえっす」
「そうか。そうだな」
騎士団長様は納得した様子で、うんうんと頷いていた。
そんな騎士団長様を見ながら、私は冒険者たちやリトに視線を移した。リトには先ほど近づいた時に治癒の魔法をかけておいたので心配はないだろう。心配なのは冒険者たちだ。深い傷を負っているように見えたが大丈夫だろうか?騎士様たちが冒険者たちを手当てしているのだが、慌てているように見える。
どうしたのだろう?
手当てをしていた騎士様の一人が、焦った様子で騎士団長様の元にやって来た。
「騎士団長、冒険者数名の傷が深く、我々の治癒ポーションではどうすることも出来ません。息も乱れ始めています」
それを聞いた私は、騎士団長様の裾を引っ張った。すると、騎士団長様が驚いたようにこちらを振り返り、私の動作に悶絶した。それから「可愛すぎる」とボソボソと騎士団長様が何かを言っていたが、私の耳には届かなかった。騎士団長様の様子がなんだか変ではあったが、私は急いで騎士団長様と騎士様たちに声を掛けた。
「騎士団長様、冒険者たちを一か所に集めて下さい。治癒します」
「ジェシカは治癒魔法が使えるのか?ジェシーとどちらの方が魔力量がある?」
「ジェシーより、私の方が魔力量は多いですから、私の方が治癒魔法を使いこなせていると思いますけど?」
「なら魔力枯渇を起こすことは無いか?」